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堀田 郁代 自己紹介

京都の、デザイン

数年前、リノベーションのショールームのお仕事をさせて頂いた会社の社長さんに、こんな本あるねん、中から何か使えるものはないか、検討してみて。と ぽんと渡されたのがこの、「京都のデザイン」という本。

読んだ本から直結の指示が、フットワーク軽くて面白いなと思う反面、でも、予算ありきだよなあ。。。と 半ばあきらめつつページを繰って、目に留まったのが、まつ九さんの版画唐紙、そして同柄で刷られた唐紙障子が印象的な施工例の和室の写真でした。

紙なら使えるかも!と、お電話を入れ、お邪魔したのが早5年以上も前のこと。いざお邪魔してお話を聞いてみると、お相手下さった徳力氏は、西本願寺絵所を勤められる徳力家の13代。12代は木版画に近代感覚を加味し、多色ながらも上品な「徳力版画」として知られた徳力冨吉郎氏。先代の作品を始め、古今東西の木版画を展示されている「京都版画館」で、徳力氏のもとに集まる若手の工芸作家さんの作品で彩られたお座敷で聞くそのお話は、刺激的で面白くて、現代の生活に活かしてこその工芸なんだなあ、お茶もお花も何もかも、空間をつくるという部分で綺麗に繋がってくるものなのだな、と恥ずかしながら「初めて」実感すると共に、京都ならではのおもしろさにこだわりたいなという 新たな視点が芽生えたような気もしました。本当に精力的かつ革新的なプロデューサーでもある彼の元にはハウスメーカーの企画室のお偉方もこぞって相談に来られるとのことだったのですが、こんなちっぽけな建築女子のお話も辛抱強く聞いて下さり、期待以上の景色を示して下さる、ほぼお人柄にも魅了されたと言っても良い出会いだったと思います。

で、何を使わせて頂いたか・・・申し訳ないことに障子紙少々「分けて」いただき、品ベニヤの建具のガラス窓に挟んで使用したのと、建具屋さんに行灯に仕立ててもらったり。木版画ならではの揺らぎが、でも、何とも言えない和の雰囲気を出してくれて、とても素敵な仕上がりでした。

そこからのお付き合いでいろいろとお世話になり、京唐紙の大きな襖を大きなホールの間仕切りに坊主襖仕立てで使ったり、オリジナル柄の唐紙を天井に貼って頂いたり。

基本は「版画」なので、アクリルに刷れるのでは?というところから 今度は行灯を「創って」頂いたり。何せ、廻りには「景アート」のメンバーの方々など、頼りになるほんまもんの職人さんがずらり。妄想を口走っても、妄想に終わらないこのありがたさ・・・。

昨年には丹波橋の展示場にも入って頂いた表具師の中島さんには、お客様お手持ちながら、使用されたことのない尾形光琳の杜若図の帯を、屏風に仕立てて頂いたり ワークショップを、お手伝い頂いたり^^;特に お世話になってしまっています。ホントニ厚かましいクライアントで申し訳ないとは思いつつ・・・;;

徳力氏は、京唐紙を部屋を彩る木版画として、伝統柄はもちろん時には伝統柄や鳥獣戯画や若沖の絵をアレンジしたオリジナル柄も、また時には襖絵として多色刷りも取り入れながら、でも、華美に転びそうなら抑制しつつ、日本ならではの美意識を表現するための美術として軽やかに扱い、魅力的な空間をつくっておられます。幾度かお会いした折お聞きしたお話を思い出しながら、打ち合わせに望むこともあったする、ほぼこれは、ファン状態??

とはいえ、ムカシから割と走ってしまう傾向の強いこーじねーちゃんのままではあるのですが^^;

今、石原と担当させていただいているお客様は、日常的に伝統工芸に近いところで京都の文化に携わる日々を送っておられる方なのですが、奥さまも徳力氏のお話に魅了されたとのこと。あのお話の魅力を共有出来る方のお仕事をさせて頂けるのもまた幸せだなあと思いつつ、また中島さんともご一緒できるのもまた楽しみなのです。 

今回選ばれた唐紙は、双葉葵柄。襖の枠は引き締めながらも柔らかさの残る女桑の着色ものを。

この写真の通り鳥の子に雲母刷り、光の当たり具合で見え方に揺らぎの出る柔らかなたたずまいが今から楽しみです。

楽しみばっかり言ってますが、新旧の取り合いのところではシビアなハードルもあり。特に監督の竹腰が大変だと思いますが、彼の電話に追っかけ廻されるプレッシャーもまた ハードル・・・

いや やっぱり楽しみ  でしょうか^^;これから工事は待ったなし、気を引き締めてかかりたいと思います。。

 

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