スタッフブログ

京都府庁シンポジウム スイッチON!

2017/02/24(金) 日々のことその他

 

先日、京都府庁で開催されたとても興味深いシンポジウムに出席してきました。

『和の住まい推進リレーシンポジウムinきょうと』

ひとめタイトルを見ただけでスイッチはいりました。

京都をメインに住宅の仕事に携わらせた頂いている身としては必ず身になる内容である!

是非、聴講するべし!!

 

シンポジウムの前半は、「和の住まいに対する関係省庁の取り組み」と言うことで

各関係省庁の担当の方が講師となり、リレー形式で、それぞれの取り組みについて講演がありました。

国土交通省の木造住宅振興へのアプローチ状況や、林野庁の昨今の林業現場の実情や木材利用の意義や新たな技術の話、文化庁の技術継承、資材確保まで含めた文化財の保護活動の実態など、なんとなくは知っていても、普段あまり深く聞くことがない話を聞けて、補助金等を含めた国策の有効活用を再認識しました。

 

そして後半、今回のシンポジウムの基調講演となる

「建築家・藤井厚二と和のすまい」の講演です。

正直言いますと、私、「藤井厚二(1888~1938)」なる建築家、存じ上げませんでした(汗)

でも下調べをすると、この人、ただならぬエネルギーをもって当時の建築界を牽引していたと知るに至り、私のやる気スイッチ!?更にONとなりました(^^)

今回の講師である竹中工務店にお勤めの松隈氏も、あることが切っ掛けで、「藤井厚二」の建築した住宅を調査、修復するまでは、彼の存在を知らなかったそうです。

そして、松隈氏の大学時代の恩師が「藤井厚二」の弟子にあたられる方で、なんと!自分が孫弟子なのだと言うことも、後に判明したそうです。

この「藤井厚二」、大正から昭和にかけて、急速に西洋化する日本のライフスタイルの変化や、電気・ガスなどのインフラ設備の導入、日本の気候風土に適応した住環境(採光・換気・断熱等を科学的に理論化)、これらを他に先駆けて調和させることに取り組んだ建築家で「日本の住宅改良運動」の礎を築いた一人です。

曰く、「日本の住宅」は外部に対して閉じたハコではなく、人の営みと自然とをつなぐデザインがその基本であると言うことだ。風景になじむような色や素材、形態に細心の注意を払って建物を周辺の環境に同化させ、窓からはすりガラスや障子を通した柔らかい自然光と四季折々の変化を見せる美しい風景を取り入れる。また縁側を設け、内部空間と周囲の自然を上手く融合させる中間領域をしつらえる。さらに「茶」「花」「陶芸」などの生活文化を嗜(タシナ)み、自然と一体になることの豊かさや心地良さを綿密にデザインし、愉快に暮らす。

デザオが設計手法に取り入れている「パッシブデザイン」の概念を90年近くも前に、自ら居住する住宅で、感覚的にではなく、科学的に実験住宅と言う形で実践し、実験、改良を重ねられていました。

なんか一世紀近くも前に凄くないですか! 

そのような住宅が5棟建築されています。

 

最後の実験住宅「聴竹居(チョウチクキョ)」は京都府乙訓郡大山崎町に現存します。

自らが完成形と宣しただけあって、住宅改良運動の実態をよく残しているだけでなく、美しい「和のすまい」の野心作としても一見の価値有りの作品です。

因みに、講師である松隈氏が中心となって調査、修復した「藤井厚二」の作品こそが他ならぬ「聴竹居」です。

 

自らが完成形とした「聴竹居」を通じて伝えたかった『日本の暮らし』の理想形。

 

予約すればだれでも見学できるそうなので、近いうちに是非一度、体感しに行こうかなと思ってます!

聴竹居HPより

日本の四季に上手に溶け込んだ佇まい。。。

 

聴竹居HPより

和と洋が調和した客室。。。

椅子やベンチの高さに合わせて床の間が上げられています。

 

 

「とことん考え、躊躇なく実践する」姿勢。

見習わなければとつくづく感じ入りました。

 

世の中、まだまだ隠れた偉人や天才いますねえ~。

 

 

 

 

記事一覧|2017年2月

1ページ (全2ページ中)

ページトップへ